組織人事戦略研究会
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組織人事戦略研究会 第34回研究会開催
 
テーマ 「人事部の役割と人材マネジメント」
内容
 2014年 7月の事例研究会は、
MSD株式会社
 取締役 執行役員 人事部門統括 兼 人事部門長の
太田 直樹 様をゲストにお迎えいたします。

■講演のポイント

最近、人事部門が管理部門の位置づけになっている企業と戦略部門の位置づけである企業では、企業力に差がついてきたと感じています。
今回は、戦略的部門の位置づけのMSDの太田様にお越しいただきます。

人事役員という立場もあり、これからの人事の役割はどうあるべきか、また経営ボード側から考える人事の役割とは、を語っていただきたいと思います。
皆さんとは、未来創造の人事を考えていきましょう。


講師
プロフィール
■講演者プロフィール

職歴
1987.4 株式会社三和銀行(現三菱東京UFJ銀行) 入行
      支店勤務を経て留学派遣

1992.5 ニューヨーク大学経営大学院修了
      支店、人事部、秘書室、企画部勤務を経て2001年6月退職

2001.7 日本ゼネラル・エレクトリック株式会社 入社
      コーポレート部門において人事部 組織開発担当マネジャーなどを歴任

2006.2 アイエヌジー生命保険株式会社 執行役員常務 人事担当として入社、
      2007年より同社 常務取締役

2009.5 万有製薬株式会社 入社
      取締役 執行役員 人財開発室長

2010.10 MSD株式会社(統合により社名/部門名変更)
      取締役 執行役員 人事部門統括 兼 人事部門長


学歴
1987.3 慶応義塾大学経済学部卒業


   
■日時 2014/ 7/ 3(木)18:45〜22:00(開場:18:30)
  • 18:45-21:00 事例研究会
  • 21:00-22:00 懇親会(ゲストも参加されます)
   
■会場 ヒューマンロジック研究所 セミナールーム
(東京都港区白金1-27-6 白金高輪ステーションビル4F)
   
■定員 25名 【終了しました】
   

 
第34回研究会 ご報告


今回の組織人事戦略研究会は、ゲストスピーカーとして、MSD株式会社 取締役 執行役員 人事部門統括 兼 人事部門長 太田 直樹さまにお越しいただきました。役員としての立場から見る人事の役割や機能と自社で取り組まれているタレントマネジメントについて語っていただきました。



より外向きになっていく人事の役割
 過去の人事は、勤労課とも呼ばれ、ペイロールや社宅管理など社員の管理を主とする非常に内向きの役割でした。しかし、本来「人事部」は切り取られた部門ではなく、経営、ビジネスの「人事」という部分を担当している戦略部門であり、ビジネス戦略を担っている部門です。そういった意味で人事は今後経営のパートナーとして、より外向きの役割が求められていきます。
 人事の役割がより経営に近くなっていく中で、人事に残っていく役割はその会社独自の「タレントマネジメント」「リーダーシップ開発」「組織開発」という部分です。今日は主に、このタレントマネジメントについてお話しいたします。


強い組織をつくるタレントマネジメント
 会社には、短期、中期、長期と目標があります。会社での短期目標は「目の前の売り上げをつくる」ことです。これを達成するためには現場の課長、部長たちが、メンバーたち能力に応じて仕事をアサインする短期の「タレントマネジメント」を行っています。人事が会社の経営にかかわっていくうえで担っていくのは中長期目標に対するタレントマネジメントの部分です。こういった会社を作っていきたいという目標に対し、「誰が必要なのか、誰を抜擢し、育成するのか、彼にはこういった経験をさせておこうか」と経営トップと考えていきます。
 タレントマネジメントは、「パフォーマンスマネジメント」「タレントレビュー」「サクセッションプラン」から成り立っています。「パフォーマンスマネジメント」では全社員の仕事の成果を把握し、評価を行います。「タレントレビュー」では、その評価の中から、社員の中でも特に優秀、また今後育てていきたい人材の状態を把握し、どのように育てていくのかということを「人ベース」で考えます。「サクセッションプラン」は「ポジションベース」で考えていきます。この部門の部門長になれる人はどのような人か、また「タレントレビュー」で上がってきた候補をそろそろこのポジションについてもらおうと計画します。重要なのは、将来のポジションには何が必要なのか、そのために誰を抜擢するべきなのかを考え、そこに集中的に投資をすることです。


早期の選抜、徹底的な集中投資
 MSDではリーダー育成プログラムを行っています。我々が参考にしたのはフィギュアスケートの育成強化プログラムの一つである野辺山合宿です。将来のメダリスト発掘のために、全国の小学校3年生から中学一年生のトップ100名を招集し、体力測定、実技テスト等をもとに潜在力のある選手を早期に選抜します。その後、選抜選手はメダリスト候補として、特別メニューの練習を行います。このプログラムによって、アルベールオリンピック時代メダル候補と言えば伊藤みどりしかがいなかったところ、現在では多くのメダリスト、候補者を輩出することに成功しています。
 我々は、野辺山合宿を参考にして、若くても潜在力のある人材を選抜し、徹底的に投資する取り組みをおこなっています。若手社員に公募で手をあげてもらい、語学試験、社外アセスメントなど一次審査を行います。その後役員プレゼン審査と社長と私の面接を経て選抜します。毎年70〜100名の応募があり、5名ほどに選抜をします。選抜をされるのは大体入社5年目から7年目のまだまだ若手の社員を選抜します。
 選抜社員には全社的、戦略的な仕事を担当してもらいます。そのために、役員クラスの直属部下のポジションへの配属をします。1年のアサインメントを合計3回行います。1年のアサインメントは、普通の人が3年かけて経験するであろう仕事に取り組んでもらいます。厳しい環境ですが、乗り越えることで、成長していきます。通常、若手社員が会社の命運を左右する場に居合わせることはありません。しかし、将来を嘱望されている社員であれば、若いうちからこういった仕事の体験は当然させるべきです。こういった徹底的な育成への投資により、将来のリーダー候補をプールしておくことが可能になるのです。これが、人事の役割でもあります。



野心を試す育成プログラム
 このプログラムの重要なところは公募制であることです。私はリーダーには「野心」のようなものが必要と思っています。プログラム内容は厳しいですが、野心があるからこそ、乗り越えることもできるのです。もちろん、選抜では潜在力を評価しているのも、「可能性」を磨くためなのです。
 日本の人材育成モデルでは、主任、係長、部長になるのが大体何年目ということが、会社の方針によってきめられています。私は優秀であれば早く役職を与えてしまっていいと考えています。優秀な社員は、いつも優秀だと扱われるので、自分から成長する環境を持ちにくい、もしくは環境がそうさせているのかもしれません。
ゴールから引き算していくサクセッションプラン
多くの外資系の企業ではキータレントマネジメントを行っています。写真つきのスキルシートを、役員みんなで取り囲み、この社員はここが優秀でこれからこういう育て方をしていこうと話し合われることがほとんどです。
 個々人をみるキータレントマネジメントでは不十分で、部門を起点に考える「キーポジションマネジメント」が重要です。サクセッションプランのスタートは、例えば「10年後の財務部門から求められるものは何なのか」と考えることからスタートします。求められるものがわかったところから、今度は何が今足りていないのかを明確にし、育成計画を考えることをサクセッションプランでは重要と考えています。
経営のパートナーとしての人事 、人事としての喜び
人事が担う機能と役割は、経営のパートナーとして「人」に関する戦略を実行していくことです。社長になる人材は、毎年必要なわけではありません。10年に一人いれば十分です。重要なのは、社長やあるポジションが空いたときにそのポジションに必要なことは何かを把握し、そのポジションの候補者を育てておくことです。
 人に投資をするということは、ポテンシャルを見込み、やらせてみる、そしてサポートをするということです。成果を出すために、本当に優秀な人材を真剣に選びますし、徹底的にやらせます。その投資が成果として返ってくる、社員が変わる瞬間に立ち会えます。人事部長としてこれ以上の喜びはないと考えています。




■研究会としてのまとめ

『サクセッションプランは選ばれなかった側のモチベーションについて考えるべきだ』というのは、サクセッションプランを導入する際に議論されやすいテーマではありますが、『そういった周りの視点を含めて乗り越えていける人をリーダーとすべきだ』と言い切ることも重要だと感じました。

リーダーになるための良質な、つまり修羅場に置かれるような経験というのが会社の中で限られてきているような場合に、それをどのような人材に当てはまることで、どのような経験を蓄積してもらうのかを設計していくことも戦略人事に求められる一つの役割なのではないでしょうか。





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